このページでは、自動車保険への附帯率が高まっている弁護士費用特約について、保険会社の約款にあたりながら、その内容を検討していきます。

1.約款からみる弁護士費用特約

三井住友海上GK家庭用クルマの保険約款から引用しています。

第4条(保険金を支払わない場合)
(1)当社は、次のいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。
① 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱、これらに類似の事変または暴動(注1)
② 地震もしくは噴火またはこれらによる津波
③ 台風、洪水または高潮
④ 核燃料物質(注2)もしくは核燃料物質(注2)によって汚染された物(注3)の放射性、爆発性その他有害な特性の作用またはこれらの特性に起因する事故
⑤ ④に規定した以外の放射線照射または放射能汚染
放射能汚染による損害に弁特は使えない
⑥ ①から⑤までの事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
⑦ 差押え、収用、没収、破壊など国または公共団体の公権力の行使
⑧ 被保険者に対する刑の執行
⑨ ご契約のお車を競技、曲技(注4)もしくは試験のために使用すること、またはご契約のお車を競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用(注5)すること。

これらは、弁護士費用特約に限らず、対人・対物・車両保険にも共通の免責条項です。

(2)当社は、次のいずれかに該当する損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。
① 被保険者の故意または重大な過失によって、その本人に生じた被害事故による損害
重大な過失に弁特は使えません
「自損事故を弁護士特約の適用で、赤本基準で請求・回収できないか?」 
稀に、こんなメールがありますが、「もうすぐ自分が刺されることが分かっているのに、そんな相手にナイフを販売する商人がいますか?」 と回答しています。
質問そのものが、チョー非常識です。

② 被保険者が法令に定められた運転資格を持たないで自動車もしくは交通乗用具を運転している場合、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車もしくは交通乗用具を運転している場合、または、道路交通法(昭和35年法律第105号)第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項に定める酒気を帯びた状態もしくはこれに相当する状態で自動車もしくは交通乗用具を運転している場合に、その本人に生じた被害事故による損害
薬物摂取後の運転は危険です!
最近はやりの脱法ハーブも、当然、含まれています。
弁護士費用特約ばかりでなく、人身傷害保険、搭乗者傷害保険も免責です。

③ 被保険者が、自動車または交通乗用具の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないで自動車または交通乗用具に搭乗中に生じた被害事故による損害。
ただし、その自動車または交通乗用具がご契約のお車以外の自動車または交通乗用具であって、被保険者が正当な権利を有する者以外の者の承諾を得ており、かつ、被保険者がその者を正当な権利を有する者であると信じたことに合理的な理由がある場合を除きます。
④ 被保険者の闘争行為、自殺行為または犯罪行為によって、その本人に生じた被害事故による損害

(注1)暴動
群衆または多数の者の集団の行動によって、全国または一部の地区において著しく平穏が害され、治安維持上重大な事態と認められる状態をいいます。
(注2)核燃料物質
使用済燃料を含みます。
(注3)核燃料物質によって汚染された物
原子核分裂生成物を含みます。

⑤ 被保険者が、ご契約のお車以外の次のいずれかの自動車を運転している場合に生じた被害事故による損害
ア.用途車種が自家用バスである自動車
イ.自動車検査証に事業用と記載されている自動車
ウ.記名被保険者、その配偶者、記名被保険者もしくはその配偶者の同居の親族または記名被保険者もしくはその配偶者の別居の未婚の子の使用者が所有する自動車(注6)であって、被保険者がその使用者の業務のために運転している自動車

この条項に限っては、実は、問題が発生しています。
用途車種が自家用バス、車検証に事業用と記載されている自動車にも、平気で弁護士費用特約が販売されているのです。
約款で免責と説明しておいて、現実には、積極的に販売しているのです。
これに対して、国内のメガ損保は、加入の事実があれば、その自動車に限って弁護士費用特約の適用・支払を行うと言明しています。つまり、1台の自動車に加入して使い回すことはできませんが、加入している自動車には適用しますと言っているのです。

「なら、約款の文言を削除すれば?」 これは私の独り言です。

上記の約款に関係なく、タクシー、観光バス、路線バスであっても、加入しておけば適用されます。
ただし、1台に契約して使い回しすることは許されていません。

ところが、販売しておいて適用を認めない保険屋さんもいるのです。
認めないのと頑張っているのは、たった1社、AIUです。
「販売しておいて、適用しないなんて理屈が通ると思っているの?」
この質問に対しては、回答がなされていません。

被害者は保険会社に不信感を持っています。

今、一般社団法人保険オンブズマンを通じて、AIUの公式見解を求めているところです。

⑥ 被保険者がご契約のお車以外の自動車に競技、曲技(注4)もしくは試験のために搭乗中、または、競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において搭乗中(注7)にその本人に生じた被害事故による損害
曲芸運転に弁特は使えません。

⑦ 被保険者または被保険者の使用者の業務の用に供される財物(注8)および業務に関連して受託した財物について生じた被害事故による損害
⑧ 第3条(被保険者の範囲)(1)⑤から⑦までに規定する被保険者が所有、使用または管理する財物のうち、ご契約のお車およびその他の自動車の車室内もしくはトランク内に収容されていない財物またはキャリア(注9)に固定されていない財物について生じた被害事故による損害

(3)当社は、次のいずれかに該当する被害を被ることによって生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。
① 被保険者が麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響を受けているおそれがある状態で発生した身体の障害または財物の損壊
② 液体、気体(注10)または固体の排出、流出またはいっ出により生じた身体の障害または財物の損壊。ただし、不測かつ突発的な事由による場合を除きます。
③ 財物の欠陥、自然の消耗もしくは劣化または性質による変色、変質、さび、かび、腐敗、腐食、浸食、ひび割れ、はがれ、肌落ちその他類似の事由による財物の損壊
④ 被保険者が違法に所有・占有する財物の損壊
⑤ 労働災害により生じた身体の障害。ただし、ご契約のお車の正規の乗車装置(注11)またはその装置のある室内(注12)に搭乗中に生じた事故による身体の障害を除きます。
⑥ 被保険者が次の行為(注13)を受けたことによって生じた身体の障害
ア.診療、診察、検査、診断、治療、看護または疾病の予防
イ.医薬品または医療用具等の調剤、調整、鑑定、販売、授与または授与の指示
ウ.身体の整形
エ.あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等

美容整形で手術の失敗?
美容整形で失敗しても弁特は使えません。
通販で購入した化粧品でかぶれた?
これらに弁護士費用特約の適用はありません。

⑦ 石綿もしくは石綿を含む製品が有する発ガン性その他の有毒な特性または石綿の代替物質もしくはその代替物質を含む製品が有する発ガン性その他の石綿と同種の有害な特性に起因する身体の障害または財物の損壊
⑧ 外因性内分泌かく乱化学物質の有害な特性に起因する身体の障害または財物の損壊
⑨ 電磁波障害に起因する身体の障害
⑩騒音、振動、悪臭、日照不足その他これらに類する事由に起因する身体の障害または財物の損壊

向かいのオバハンの騒音被害?
近所のゴミ屋敷の悪臭?
ゴミ屋敷の悪臭対策には使えません。
これにも弁護士費用特約の適用はできません。
⑪ 初年度契約の始期日(注14)より前に被保険者が被害の発生を予見していた(注15)身体の障害または財物の損壊

(4)当社は、次のいずれかに該当する者が賠償義務者である場合は、これらの者に対する損害賠償請求またはこれにかかわる法律相談を保険金請求権者が行うことにより生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。
① 第3条(被保険者の範囲)(1)①から④まで、および⑦に規定する被保険者
② 被保険者の父母、配偶者または子

(5)当社は、次のいずれかに該当する損害賠償請求または法律相談を保険金請求権者が行う場合は、それにより生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。
① 被害に対して保険金の請求が行われる保険契約の保険者(注16)に対する損害賠償請求またはこれにかかわる法律相談

 加害者が任意保険に加入しておらず、損害賠償の資力もないとき、被害者は泣き寝入りするのか?
無保険車障害保険を使える場合があります。
被害者が死亡もしくは後遺症が認められたときは、被害者が加入する自動車保険に対して無保険車傷害保険に保険金請求をすることができます。

この争いは、まず、加害者を相手取って損害賠償請求訴訟を提起します。
判決で損害額が確定させ、これを加入の保険屋さんに請求するのです。
やがて突き刺すことになる保険屋さんに、ナイフを要求していることになるのですが、相手に対する損害賠償請求訴訟では弁護士費用特約の適用が可能です。
その後の、保険金請求訴訟となると、弁護士特約の適用は却下されます。
しかし、ほとんどは、話し合いで決着します。
地方裁判所の確定判決に逆らっても勝ち目はないからです。

② 損害賠償請求を行う地および時において社会通念上不当な損害賠償請求またはこれにかかわる法律相談

(注4)競技、曲技
競技または曲技のための練習を含みます。
(注5)競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用
救急、消防、事故処理、補修、清掃等のための使用を除きます。

(注6)所有する自動車
所有権留保条項付売買契約により購入した自動車、および1年以上を期間とする貸借契約により借り入れた自動車を含みます。
(注7)競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において搭乗中
救急、消防、事故処理、補修、清掃等のために搭乗している場合を除きます。
(注8)被保険者または被保険者の使用者の業務の用に供される財物
ご契約のお車を除きます。
(注9)キャリア
自動車の屋根またはトランク上に設置された小型・少量の荷物を積載・運搬する装置をいいます。
(注10)気体
煙、蒸気、じんあい等を含みます。
(注11)正規の乗車装置
乗車人員が動揺、衝撃等により転落または転倒することなく安全な乗車を確保できる構造を備えた道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に定める乗車装置をいいます。
(注12)その装置のある室内
隔壁等により通行できないように仕切られている場所を除きます。
(注13)行為
不作為を含みます。
(注14)初年度契約の始期日
この特約が保険期間の中途で付帯された場合は、変更日をいいます。
(注15)予見していた
予見していたと判断できる合理的な理由がある場合を含みます。
(注16)保険金の請求が行われる保険契約の保険者
共済金の請求が行われる共済契約の共済責任を負う者を含みます。