どういう訳か、不思議と続くのです?
後遺障害による損害の支払前に、被害者が死亡した事案?

極めて特殊な例ですが、今年の秋から、3件を経験しています。
そこで、本件に対する自賠責保険の処理方法をお教えしておきます。

まず、問題とされるのは、受傷と死亡の間に因果関係が認められるか? 厳しく検証されます。

(1)受傷と死亡の間に因果関係が認められないとき?

死亡の事実は考慮せず、後遺障害事案として取り扱うことになっています。

逸失利益の計算では、症状固定日から就労可能年数までを積算し、中間利息を控除します。
基礎収入×労働能力喪失率×喪失年数に対応するライプニッツ係数
つまり、一般的な後遺障害事案と同じ計算方法となります。
被害者は、死亡しているのですが、生活費の控除は行われません。
後遺障害慰謝料についても、規定額が認定されています。

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保険調査員時代、死亡の事実が分かると示談金の支払いがなされない?こんな不安から、ひたすら内緒にされる被害者側の家族がおられましたが、その必要はまったくありません。

(2)因果関係は認められないが、特段の事情が存在していたとき?

①被害者の死亡について、当該事故発生の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在していたこと、

例 被害者が、事故発生時、現代の医学水準では治癒が不可能か、著しく困難である重篤な疾病に罹患していた、また、疾病が治療時機を逸した結果、末期ガン等、手遅れの状態となっていたとき、

②当該交通事故発生の時点で、被害者の死亡が客観的に予測されていたこと、

例 医師の診療録等に、死期の告知を行った旨の記載が確認できたとき、

逸失利益は、被害者の月収×労働能力喪失率×症状固定日から死亡までの月数となります。
将来の支払を含まないところから、中間利息の控除は行われません。
月数に端数が生じるときは、切り上げとします。
被害者が死亡時、子どもまたは18歳未満の学生であったとき、逸失利益は0円となります。
後遺障害慰謝料は規定額を認定します。

(3)受傷と死亡の間に因果関係が認められるとき、

死亡事案として取り扱われます。

(4)受傷と死亡との間の因果関係の有無の判断が困難なとき、

50%減額後の死亡による損害額と後遺障害による損害額を比較し、いずれか高い方の損害額を認定することとされています。

こんな相談がなされたときも、交通事故の専門家を標榜する弁護士であれば、淀みなく回答、積極的に対処しなければなりません。