(2)肩甲骨骨折

 

肩甲骨

肩甲骨は、背中側の肩の部分についており、比較的、薄っぺらな形状をしています。
他の骨とは、しっかりとした関節を形成しておらず、自由に動かすことができる骨です。

①肩の後方部分に、経験したことのない激痛が走る。
②肩の後方部分が青黒く変色している。
③肩と肘をまったく動かすことができない。
上記の3拍子がそろったら、肩甲骨は骨折しています。

3DCT画像 肩甲骨横骨折

3DCT画像 肩甲骨横骨折

肩甲骨骨折XP

肩甲骨骨折は、肋骨が邪魔をしてXPでは読み取りにくいのです。

最近の経験では、自転車のロードレース中に、下り坂を時速40km以上で落車、左肩から地面に落下、左肩鎖関節脱臼骨折、肩甲骨と肋骨を2本骨折した例があります。
この被害者は重症例であり、肩関節の運動制限で10級10号、鎖骨の変形で12級5号、併合9級が認定されました。

一般的に、肩甲骨骨折で手術をすることは稀で、三角巾、ストッキネット、装具等で3週間程度の肩を固定する、保存的治療が選択されています。
その後は、振り子運動などの軽いリハビリ、温熱療法=ホットパックの理学療法が実施され、肩甲骨単独の骨折であれば、後遺障害を残すこともありません。
しかし、肩甲骨が骨折するほどの大きな直達外力が加えられており、上記の如く、鎖骨骨折、肩鎖関節脱臼、腱板損傷、肋骨骨折を合併することがあり、注意深く検証しなければなりません。

症状固定時期は、受傷後6カ月を経過した時点です。
肩甲骨骨折だけにとどまるものであれば、就労は受傷1カ月目から可能です。
ダラダラ休ませるものではありません。

後遺障害は、肩甲骨の変形によるものが12級5号、肩関節に運動制限を残すと12級6号、10級10号の選択となりますが、鎖骨骨折、肩鎖関節脱臼、腱板損傷、肋骨骨折等の合併が前提となります。10級10号は極端な重症例です。

★理解のポイント
□被害者が持参した画像から、肩甲骨がどの部分で骨折しているかをチェックしてください。
肩甲骨の変形で12級5号が認定されるか? 相談者が男性なら、裸体でこれを確認します。
女性なら、別室で女性事務員が立ち合い確認します。
その際は、背中、肩甲骨部分のデジカメ撮影を行い、ファイルしておきます。

□傷病名が肩甲骨骨折、受傷から2カ月を経過しているのに、肩関節の疼痛と運動制限を訴えるときは、肩鎖関節亜脱臼や腱板損傷が見逃されていることが予想されます。
早期に肩関節部のMRI撮影を指示しなければなりません。

□初診に傷病名がなく、受傷から4、5カ月を経過して発見された肩鎖関節亜脱臼、腱板損傷となると、Nliro調査事務所は、本件事故との因果関係を疑います。
カルテに肩関節の痛みや運動制限の記載がなければ、後遺障害を諦めることになります。
やはり、2カ月前後で発見しなければなりません。

□肩甲骨骨折では、合併損傷が決め手となります。
ところが、専門医でなければ、発見ができない、見落とす可能性が高いのです。
相談には、肩関節周辺の傷病に対する広い見識が必要です。