ビジネスとしての交通事故?

着手金無料の検証?

最近、実際に弁護士案件となった例で、着手金無料を検証します。
出前の途中で、出合い頭衝突し、傷病名、右股関節の後方脱臼骨折、右脛骨の開放性高原骨折、右足関節の3果粉砕骨折のうどん屋さんの例

右股関節の後方脱臼骨折

右脛骨の開放性高原骨折

受傷直後ですが、一下肢の2関節の用廃で6級7号の可能性が予想されます。
では、解決に至るまで、この弁護士がやるべき仕事を列挙します。

①まず、過失割合の判定です?

過失割合の判定

被害者は優先道路を原付で直進しており、相手車は交差道路から右折におよんでいます。
別冊判例タイムズ16、230ページ、158によれば、基本過失割合は10:90となっています。
しかし、これで安心するのではなく、原付に速度違反はなかったか?
右折車に、徐行なし、右折禁止違反、早回り右折、その他の著しい過失は認められないか?
つまり、0:100、20:80の可能性に踏み込んでおかなければなりません。
そのためには、3、4ヵ月後の刑事記録の取り付けを手配しておかなければなりません。
ときには、保険調査員のルートから現場検証の手配もしておくことも予想されるのです。

②次に休業損害?
飲食店の収支の実態はノートに仕入れとその日の売上が記載されたもので、申告に至っては、まず、いくらの税金を支払うかのアプローチで、実態に即したものではありません。
保険屋さんに言わせれば、収支の実態が不明な状況です。

基礎となる収入は、療養期間中の休業損害だけではなく、後遺障害部分の損害、逸失利益にも影響を与えます。「過少申告が命取りになりましたね?」 こんな対応なら弁護士の値打ちはありません。

やはり、受任する以上は、少なくとも、過去3年分について、税理士に総勘定元帳の作成を依頼して、収支の実態を明らかにしなければなりません。
余談ですが、こんな面倒な作業を5万円、10万円で引き受ける税理士はいません。

③本件のコアとなる後遺障害部分は?
右股関節の後方脱臼骨折、右脛骨の開放性高原骨折、右足関節の3果粉砕骨折との傷病名です。
右脛骨の開放性高原骨折については、複合靱帯損傷を伴っており、予後不良の重傷です。
右股関節の後方脱臼骨折、右足関節の3果粉砕骨折についても、観血的固定術が実施されていますが、現時点では後遺障害等級には踏み込めません。

右足関節の3果粉砕骨折

右股関節、右膝関節、右足関節の可動域制限、動揺関節、大腿骨・下腿骨の短縮、腓骨神経麻痺等、広範囲の検証が今後の治療経過で必ず必要となります。

④医療コーディネーターの出番?
現在の治療先に、整形外科・スポーツ外来の専門医がいるのか? 
退院後のリハビリ治療先は? チェックはここから始まります。
その上で、治療経過、骨癒合状況から抜釘の時期、後遺障害診断のタイミングを検証していきます。

常識的には、6、7ヵ月後に抜釘、抜釘後2、3週間で症状固定、後遺障害診断となりますが、骨癒合が不良で偽関節化したときは、途中で治療先の変更を含む選択肢を検討しなければなりません。

右膝関節に問題を残し、右下肢の治療が遷延化するときは、右股関節や右足関節の症状固定を先行させる等の積極策も検討しなければなりません。

弁護士の指示により、医療コーディネーターが着手しない限り、医療に素人の被害者が、独自に動き回って6級7号を獲得することはできません。 この点は、餅は餅屋なのです。

弁護士は、4つの要素を合理的に前進させ、来るべき損害賠償に備えることになります。
であれば、弁護士にも有能なスタッフが必要となるのです。

本件は、被害者が所有する自動車に弁護士費用特約があり、上記の費用は、弁護士が特約に請求して回収しています。
しかし、弁護士特約がなければ、それらの費用は弁護士が個人で負担することになります。
そんなとき、着手金無料で、なにができるのでしょうか?
専門家に依頼して手配を整えるのに、タダ? 後払い精算? いずれも不可能です。
受任しても、保険屋さんに通知するだけで、なにもしない? これを被害者に寄り添うとは言いません。
弁護士費用特約の普及率は伸びてはいますが、30%に過ぎません。
全方位で被害者救済を考えるとき、やはり、着手金は必要となります。