治療費・看護料・差額ベッド料・治療関係費用・通院交通費について 3

(5)柔道整復等の費用

免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費が認定されます。

①柔道整復師の施術=柔道整復師の施術のみ
被害者が医師の治療を受けず、柔道整復師の施術のみを受けているときは、施術証明書の提出があれば、その費用が認定されています。

②脱臼または骨折の患部に行う施術
柔道整復師が脱臼または骨折の患部に施術を行う場合は、柔道整復師法17条により、応急手当を除いては医師の同意を必要とします。
実務上、施術録に医師から施術について同意を得た記載があれば、医師の同意書の添付は必要としません。

保険請求の不正に接骨院が利用されることが多く、先の取り決めがなされています。
疑わしいものについては、調査が行われます。

③治癒後の施術
医療機関で治癒と判断された以降の施術に対しては、認定されません。

④領収書のみ
柔道整復師の施術費は、施術証明書にまとめて請求するのですが、領収書による請求であっても施術部位や回数が明示され、施術費が金額的に妥当で施術の必要性があると判断できるものは認定されています。

⑤往療料
往療は特殊なケースに限定され、受傷状況、部位その他往療を必要とする特段の理由が明らかに判断できるときに限って、妥当な範囲で認定されています。

⑥XP検査料
柔道整復師が行ったXPの検査料は認定されません。
エックス線の照射は、診療放射線技師法24条により、診療放射線技師の免許を有しない者が患者の身体にエックス線照射をすることを禁じています。
仮に柔道整復師がこの免許を有していても、施術所内で照射することは法26条2の違反となります。

⑦入室料
入院施設を有する柔道整復師宅における入室施術は、被害者の受傷状況、年令により通院に著しく不便を来すときで、柔道整復師の治療を受けるに至った経緯や治療の継続にやむを得ない事情があるとき、具体的には、豪雪地区や無医村等で被害者の通院に著しく不便を来すときに限って認定されます。
しかし、入院日数=通院日数として取扱い、諸雑費の認定はなされません。

⑧あんま、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師の施術
あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の施術費用については、原則として医師が必要とする場合に限り認定するとされています。

あんま、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師の施術

ただし、医師の治療を全く受けないときは、医師の治療を受けられなかった理由が必要となり、やむを得ない事情であると判断されるケースに限って認定されています。
先の柔道整復師に比較して、狭められた扱いとなっています。

無資格者が行う施術やカイロプラクティック、気功や、イオン療法、酵素療法の特殊療法は、いずれも民間療法とされており、一切認められていません。

呪術や信仰

呪術や信仰も当然のことながら、支払の対象にはなりません。

自動車損害賠償保障法は、労災保険法を基礎として制定されおり、そして労災保険法は、1911年、明治44年に制定された工場法を基礎としているのです。
こうした時代背景もあって、治療については、医師だけではなく、柔道整復、あんま、マッサージ、指圧師、鍼灸師の施術をも含め、細かく規定されています。

しかし、現実の運用は、診断権を有する医師の治療がメインとされています。
柔道整復、あんま、鍼灸は、医療類似行為、施術と分類されているのです。
そして後遺障害の審査では、施術は、治療実績としては評価されていないのです。

したがって、弁護士としては、
「整骨院、鍼灸院に通院するのではなく、あくまでも、医師の治療に専念してください。」
依頼人を指導しなければなりません。
でないと、後遺障害が否定される不利益が発生するからです。

(6)自己経営の治療機関で治療

加害者が経営する病院で被害者の治療を行う?

加害者が経営する病院で被害者の治療を行う?
医師である被害者が、自己経営の病院で治療を受ける?
いずれも認められています。