健保もしくは労災保険の適用?

 常識的には、健保や労災保険の適用を依頼してくるのは保険屋さんです。
依頼人の説得が終われば、これらの手続は保険屋さんに任せることになります。
手続は、保険屋さんから依頼を受けたリサーチが担当しますが、彼等もプロで、間違いがありません。

しかし、弁護士の判断で健保や労災の適用とするときは、その手続を依頼人にさせてはなりません。
依頼人との信頼関係を損なう落とし穴が待ち構えているからです。

(1)自賠先行なので、自賠責保険の120万円を使い切ってから健保・労災に切り替えてください?
健保でも労災でも、適用となれば、自賠責保険との間で調整を行う事務作業が発生します。
彼等にとっては、大変に面倒な事務作業なのです。
そこで、自らの仕事量を増やしたくない木っ端役人は、屁理屈をこねくり回した行政指導、窓口規制で対応することになります。

弁護士は、自賠責保険を温存する必要から、初診からの健保・労災保険適用を意図しています。
120万円を自由診療で使い切ったのであれば、病院は助かりますが、依頼人は丸損です。

自賠先行

行政手続法32条
「行政指導にあたっては、当該行政機関の任務または所掌事務の範囲を逸脱してはならないことおよび行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」  さらに、32条の2では、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならない。」

行政手続法32条により、任意の協力を拒否します?
依頼人が、窓口でこんな回答をすることはできません。
ただただ狼狽えて、「依頼の弁護士さんの言ったようにはならない?」 と不審感を持つのです。
したがって、届出は、弁護士事務所の職員が依頼人に同行して行うことになります。

こんなときでも、職員は、「はい、分かりました。」 この二つ返事で乗り切るのです。
書式の全てを回収し、その中から、業務災害なら様式5号を、通勤災害なら様式16号の3を作成、その日のうちにさっさと、治療先に届けるのです。

これは、療養給付たる療養の給付請求書、舌をかみそうな名称ですが、治療先が治療費を請求する時に絶対に必要となる用紙です。
治療先は、これで治療費の請求ができますので安心します。
治療費が労災に請求されれば、自賠先行もヘッタクレもありません。
労働基準監督署は、ルールに従って治療費の支払いを開始します。
窓口でもめなくても、初診からの労災適用で万々歳!
これを私は、出したもん勝ち!と言っています。

(2)保険屋さんに受傷4ヵ月で治療を打ち切られ、やむなく国民健康保険の適用で市役所の保険年金課を訪ねたが、保険屋さんが支払うのが筋だと、適用を拒否されました?
保険年金課の問い合わせに、保険屋さんが治療費の負担を拒否したことを理由としているのですが、本音は、「自分の仕事が増えるから、なるべく健康保険を使わせたくない?」  木っ端役人の腹の内ですが、その通りには言えませんので、屁理屈を多用、窓口規制をするのです。

屁理屈を多用

ここでも依頼人が1人で出向いたときは、対抗できません。
「依頼の弁護士さんの言ったようにはならない?」 やはり、不審感を持つのです。

職員であれば、屁理屈には、ヘリクツで応戦することになります。
「ヤクザ同士の抗争で、ピストルで撃たれたら、立派な第三者行為ですよね、あなた達は、撃ったヤクザに治療費を請求して回収しているのですか、お役所の仕事も命がけですね?」

ヤクザ同士の抗争?

「ひき逃げで犯人が見つからないとき、犯人不明として健康保険を拒否しているの?」
続けて、「この用紙は、第三者行為の傷病届と書いてあります。
弁護士の指示により届け出たのであって、貴方に許可を頼んだ覚えはありません。
それでも、あなたの許可が必要ですか?」

労災保険では、「ハイ、分かりました!」
健康保険では、「お役所の仕事も命がけですね?」
このように反応して、初診からの適用としてください。
これで、木っ端はキャンです。
健保でも労災でも、入院事案の自賠先行は御法度です!