事業所得者の休業損害?

(1)事業所得者の定義

事業所得者とは、原則として白色申告・青色申告事業主のことですが、自賠責保険は、被害者に現実に収入減が認められたときに限って、休業損害を認定します。

当方はショボイ株式会社ですが、青色申告です。

(2)計算式

(事故前1年間の収入額-必要経費)÷365日×寄与率×休業日数

休業日数は、原則として実治療日数ですが、傷害の態様、業種等を勘案し、治療期間の範囲内で実治療日数の2倍を限度とすることができるとされています。
また長管骨骨折等によるギプス固定期間は実治療日数として扱います。
代替労働力を利用したときは、被害者の休業日数の範囲内で、必要かつ妥当な実費を認定します。

打撲・捻挫で、実治療日数×2が、評価されることは絶対にありません。
それどころか、受傷から3カ月の通院実日数を認定するのが精一杯です。
相談では、早期の社会復帰を指示しておく必要があります。

(3)休業損害認定方法

①収入額の立証
自賠責保険では、税務署の受付印のある確定申告書の控、報酬・料金・契約金および賞金支払調書等とされています。 立証資料の提出がなされないときでも、被害者関係先に照会し、休業により当然収入に減少を来すことが推定できるときは、定額の日額5700円を認定します。

0評価はありませんが、よく調べないで、渋々5700円が最大です。

②前年度の所得証明が提出不能のとき、
被害者が自営業を開始後、1年未満に事故により受傷し、事故前年度の所得証明が提出できないときは、この間の収支明細の提出を求め、信憑性ありと判断ができるときは、立証資料に基づき、認定がなされます。

保険調査員時代、立証資料に基づいて、5700円以上を認定した経験がありません。

事業所得者の休業損害・逸失利益の積算は難解です。
ウカウカしていると、定額×実治療日数にされてしまいますから、大変です。

これらの積算に当たり、大手の保険屋さんで、分析を税理士に委ねているところがあります。

大手の保険屋さんで、分析を税理士に委ねているところがあります。

画期的な試みですが、結果は、被害者にとって好ましい方向とはなっていません。
やはり、沢山支払わないとの方針が優先される調査ですから、結果は火を見るよりも明らかで、殆どが信憑性なしの意見でボツにされています。

キリスト教を代表とする宗教の世界では、「信ずるものが救われる?」 ですが、交通事故の世界では、「保険屋さんを信じたものが、バカを見る?」 これが、偽りのない事実です。

申告は納税を目的としたもので、休業損害の申請とは、似て非なるものです。
例えば、固定経費は税額を圧縮するものですが、休業損害では、上積みの材料となります。
事故受傷で店舗を閉めていても、家賃は払わなければならないからです。
電気代やガス代も使用しなければ0円ではありません。
申告の如何にかかわらず、立証資料を分析して、総勘定元帳を含む経理帳簿の一切を作成して、根拠を明らかにして請求してください。

題名「損害賠償における休業損害と逸失利益算定の手引き」
著作者 税理士 斎藤博明・斎藤明仁
出版社 保険毎日新聞社(03-3865-1401)
この書籍にヒントが説明されています。

③事業所得者の休業損害の必要経費の算出方法
事業所得者の休業損害は、「税務署の受付印のある確定申告の控え」もしくは「信憑性のある収支明細書」に基づいて算出されています。

信憑性のある収支明細とは、専門家の手になる総勘定元帳を初めとする経理帳簿のことです。
売上等を市販のノートに書きなぐったものは、例え真実が記載されていても、「信憑性あり!」 そのような判断はなされません。
それ故、保険屋さんから依頼を受けた税理士事務所に、それらの関係資料を提出しても、いずれも、「信憑性なし。」 直ちに判断されてしまいます。
保険屋さん依頼の税理士を信頼して、立証資料を提出し、期待を持って待機している被害者、お気の毒ですが、期待は落胆に変わるのです。

さて、正規に作成された経理帳簿と預金通帳等による裏付けが完成すれば、それが、例え申告額より高額であったとしても休業損害として認定されるのです。
この傾向は裁判でも同じですから、しっかりと理解しなければなりません。