自賠法はバイブルだ?

9/2~10/7の27回にわたり、弁護士の実務に役立つ保険の約款に対する知識を集中連載しました。
近日中に、コンテンツ化しますが、27項目の全てを理解していただく、それが私の強い希望です。

さて、次のテーマは、保険屋さんの肚の中を正しく理解することです。
保険屋さんは、相対峙する敵ではありますが、一方で、報酬請求を行う重要な相手方です。
「彼を知り、己を知れば、百戦殆うからず!」 ですから、保険屋さんの行動を理解する上で欠かせない、自賠責保険のルールとポイントについて集中連載します。

自動車保険は、自賠責保険+の2階建て構造?

自動車保険は、自賠責保険+任意自動車保険の2階建て構造?

1階部分はRC構造でシッカリしていますが、
2階は建て売り仕様で住人も行儀が悪いので困っています。

さて、ムチウチでは、3カ月を経過した段階で、治療の打ち切り、示談解決が提案されます。
どうして?
3カ月で示談とすれば、支払った賠償金の全額は、自賠責保険から回収できるからです。
そうなれば、保険屋さんの負担は0円、ロハなのです。
すべての保険屋さんが、ロハを理想的な示談解決と考え、強烈に推進しているのです。

日本における自動車保険は、1階が自賠責保険、2階に任意保険の2階建て構造となっています。
自賠責保険は、紛れもない対人保険、償いの保険ですが、任意保険と違う点は、支払限度額と支払基準が自動車損害賠償保障法で明確に規定されていることです。

自賠責保険の支払限度額

この2階建て構造ですが、
任意保険は、自賠責保険の上乗せ保険であり、先に自賠責保険から支払うこととされています。

任意保険には、支払基準はありません。
もちろん、払い渋りに満ちた弊社の基準を振りかざしていますが、法律の裏付けはありません。
そんな基準は、単なる紙切れですから、相手にすることもないのです。

ところが、自賠責保険は、自賠法により、支払いのルールが細かく決められています。

保険屋さんが、このルールを無視するとどうなるか?
損害の総額が120万円未満であるのに、自賠責保険からは60万円を回収しただけ?

ある被害者から、月額50万円の休業損害の請求がなされました。
ところが源泉徴収がなされておらず、収入の裏付けがありません。

休業損害 原則 5700円?

保険屋さんが、これを認めて50万円を支払っても、自賠責保険から回収できるのは、最大でも、
5700円×30日=17万1000円にしかなりません。

こんなことを許していれば、任意保険としての根幹が揺るぎます。
どんなときでも、自賠責保険は100%回収しなければならない!
これが達成できない査定社員はいらない!
これが保険屋さんの心棒となっているのです。