各論 ムチウチについて?

(1)データ

後方からの追突
平成21年度の交通事故発生件数は111万7373件、
後遺障害認定件数は6万2452件、内14級9号の認定率は56.40%
ムチウチで3万5223件が認定されていると推計され、全件地裁基準による解決となれば、1件300万円としても、1056億6900万円の損害賠償額となります。
現在でも、ムチウチは、後遺障害の最大勢力を構成しています。

2012年、NPO交通事故110番がサポートして14級9号を獲得したものは、10/末現在で327件です。
交通事故の解決では、ムチウチを決して無視することはできません。

頚部

(2)受傷機転
自動車を運転中、後方から追突の衝撃を受けると、体幹は車と共に急激な加速を受けて前進します。
ところが頭部は、4~5㎏の重量があり、慣性の法則が働いて、その位置に止まろうとします。
だるま落としの光景を想像してください。
一方、頚部は1本の長管骨ではなく、7個の椎体骨で構成され、それぞれに関節を有しています。
追突の衝撃により、体幹が前に移動しますが、頭部は後方向にとどまっています。
しかし、その直後の反動で頭部は、大きく前方向に移動することになります。
関節を有する直径12㎝前後の頚部に、日常生活ではあり得ない過屈曲と過伸展が加えられた結果、頚部の組織に圧迫や断裂、捻転が生じるのです。
これがムチウチ、外傷性頚部症候群、頚椎捻挫、頚部挫傷と診断されています。

直径12㎝前後の頚部には、中央部に脊髄、前部に甲状腺や気管が存在し、左右には総頚動脈、内頚動脈、椎骨動脈が走行しています。
血管に沿って交感神経が走行しており、極めて緻密、複雑な構造となっています。
この頚部に衝撃を受けると、関節は捻転、周辺の軟部組織は断裂、内出血、脊髄から枝分かれをした末梢神経の神経根は圧迫を受けることになります。
外傷性頚部症候群は、「なんだ、ムチウチか?」 ではなく、実に奥が深い傷病名なのです。