各論 脊髄不全損傷?

(1)弁護士でさえ、騙される傷病名?

セキソン、この傷病名は多くの人が知っています。
中枢神経である脊髄の横断型損傷であり、交通事故では、脊椎の脱臼骨折で発症しています。
損傷を受けた部位以下は完全麻痺を示し、不可逆性で改善はなく、深刻な後遺障害を残します。

ところが、相談にやって来た被害者の診断書を見ると、脊髄不全損傷と記載されています。
セキソンか? 緊張する瞬間ですが、不全とは、どの部位が損傷を受けたのかが分からないことを意味しており、不全損傷ではMRIで損傷部位を確認することができません。
画像所見が得られなければ、Nliro調査事務所は、問答無用で非該当です。

脊髄不全損傷

そして、これらの被害者に特有ですが、頚部神経学的所見に脊髄損傷を示す明確な異常がなく、著明な筋萎縮も認められないことがほとんどなのです。
画像所見では、頚椎の全体に大きな年齢変性が認められ、ときには、頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症、脊柱管狭窄症、後縦靱帯骨化症の傷病名が併記されています。

受傷直後に相談を受けることは滅多になく、平均すれば、受傷から1年以上を経過しています。
この間、保険屋さんからは年齢変性によるものと決めつけられ、休業損害の支給停止、治療費の打ち切り、挙げ句の果ては弁護士対応で、こっぴどい対応を受けている被害者が大多数です。 

非常にお気の毒な被害者ですが、脊髄不全損傷を信じ切っての訴訟提起はありません。
私は、こんな被害者に対して、「あなたは右腕が動かないと言われるが、それは目覚めてからのことで、熟睡しているときは、寝返りも打ち、右手でお尻をかいているに違いない!」 と説明します。
やや言い過ぎではありますが、筋萎縮が認められない以上、これが真実なのです。
被害者は、すべてが事故のせいで凝り固まっていますから、これをほぐす作業が必要なのです。

変形性脊椎症、頚椎症、頚部脊椎症、脊椎骨軟骨症、脊椎骨関節症、OAの傷病名では、被害者の訴えている症状から脊髄不全損傷と診断されることが多いのです。

昨日は、年齢変性のどこが悪いの? 問題提起をしていますが、こうなると単なる年齢変性ではなく、疾患に相当する年齢変性と心身症を併発しています。
弁護士一人で解決できることではなく、心療内科医のコンサルトが必要です。