傷害・後遺障害部分の慰謝料比較(単位 万円)
傷害部分慰謝料

傷害部分慰謝料の表から説明します。
損保の欄は、保険屋さん、弊社の基準として提示される慰謝料です。

次の東京は、赤本基準で、実質的には、東京地方裁判所支払基準として運用されています。
別表Ⅰは、打撲や捻挫の軽傷、別表Ⅱは骨折等の通常事案に適用されています。
重傷事案では、別表Ⅱの120%を容認しています。

その隣の名古屋は、青本基準の最低値を並べたもので、赤本と比較するとかなり、見劣りします。

大阪は、大阪地裁基準として発表されているもので、軽傷・通常・重傷の3分割で説明されています。
とりわけ、軽傷に厳しい評価が下されているのが目立ちます。

後遺障害部分慰謝料

さて、傷害慰謝料と後遺障害慰謝料を合算、比較して検証を加えます。
☆ムチウチの軽傷事案・受傷から6カ月で症状固定・14級9号が認定されたときの比較です。

慰謝料合算による比較

東京の紛センでは199万円、ショボイ弊社の基準と比較すれば190%、名古屋の紛センなら166万円で159%、大阪の紛センなら190万円で182%の増加となります。

さて、地裁基準とは、弁護士に委任し、訴訟も辞さない立証と、交渉を繰り返して得られるものです。
「弁護士に依頼もせず、被害者と保険屋さんとの相対交渉で地裁基準の適用はありませんよ?」
これは保険屋さんの言い分です。

では、社会通念上許される、保険屋さんと地裁基準の乖離は、どの程度を言うのでしょうか?
159~190%と大きく離れていても、保険屋さんなら許せるのでしょうか?
決してそんなことはありません。

2002年8月、当時の東京地裁民事27部総括判事の河邊 義典氏は、交通事故賠償の実務と展望
について講演しておられます。

分かりやすい言葉で講演をしておられます。
長いのですが、じっくりとお読みください。

被告代理人、任意保険会社に対する要望
かつて保険会社が、共通の支払基準として、大蔵大臣の認可を受けて実施していた「自動車対人賠償保険支払基準」 は、この間廃止され、現在は各社ごとに支払基準と運用規定を設けて、事件処理にあたっているということです。

問題は、この保険会社の支払基準に基づき提示される賠償額が、判決・和解による賠償額に比べて極めて低額であるということであります。

ある示談の手引きの本に、「訴訟ではバカにならない手間と暇、腹8分目で妥協せよ」 という助言がでておりました。確かに訴訟になると、ある程度の時間とコストがかかります。訴訟前に解決するのであれば、満腹ではなく腹八分目が引き時であるというのは、適切なアドバイスであります。

しかし、示談交渉の中で保険会社が提示する賠償額は、私の経験では、腹八分どころか腹六分にも満たず、訴訟に要するコストや時間を考慮しても説明のつかないものが少なくありません。

被害者救済の観点から最低限の補償をすることが目的の自賠責保険であれば、「損害査定要綱」 のような賠償水準もやむを得ないといえます。
しかし、任意保険の示談基準は、現行のような水準でよいものでしょうか。

ある雑誌には、日本の損害保険会社は、欧米諸国の損害保険会社に比べて、支払った保険金の割合が低く、契約者がその「支払い渋り」 について根強い不信感を持っていると書かれておりました。
民事27部の裁判官にも、利益第一という保険会社の企業体質を問題視する者が少なくありません。
(中略)
任意保険サイドは、この点についてどのように考えているのでしょうか。

1993年版の赤い本に損保協会の柏井譲二氏の講演が記載されていますが、これによりますと、任意対人賠償保険の支払基準の基本的な考え方は、「自賠責保険が部分的補償を前提とした基本補償であると考えるならば、任意保険はその補完的機能を果たす、完全補償を目的としたものであり、賠償額水準は、社会的に公正、妥当なものでなければならないことから、原則として判例の追随型を目指すもので、裁判所の判例傾向を正しく把握し、これを分析、集約する形で損害額算定上の諸方式の定型化あるいは定額化を行っていくものである。」 ということであります。
柏井氏のご意見であれば、私も大賛成です。

本来、自賠責と裁判基準との間に、「任意保険基準」 なるものは存在しないのであろうと思います。
保険会社としては、裁判基準に準拠すべきであり、ただ、訴訟になった場合のコストや時間をかけないで解決することから、裁判基準から多少減額することに合理性が認められ、落ち着きとしては、裁判基準の8割程度ということになるのではないでしょうか。
ぎょうせい出版、「新しい交通賠償論の胎動」 39~41Pを抜粋して掲載しています。

現役の裁判官からの提言ですが、保険屋さんはこれを無視し続けて、すでに11年が経過しています。

やっぱ、これは詐欺だわ!