Q 異議申立、14級が12級となる可能性について?

追突による頚部捻挫で、14級9号が認定されました。
異議申立で12級13号が認定される確率をお教えください。

以下に、診断書の抜粋を掲載します。
追加で、記載したほうがいい試験などがありましたら、お教えください。

事故日 2011-10-7
症状固定 2012-9-28
傷病名 外傷性頚椎症 頚椎椎間板C5/6ヘルニア
自覚症状 頚部痛、左手の痺れ、左手の握力が低下、
握力右48.5、左31.5kg
Jackson -+  sporlingsign -、+ Hoffman -、- Tremner-、- wartenberg - -
Bicep TR +、 + Tricep TR +-、 +  PTR ++、 ++ ATR ++ 、++ Ankle clonus -、-
両上腕MMT 全て5
運動障害頚椎部
前屈50後屈35右屈25左屈20右回旋55左回旋55

今回の事故でヘルニアになったとは考えられないので、14級9号とのことでした。

また、異議申立を行うと裁判で、診断書記載の医師の証言が必要となりますか?
過去の質問を見ると、医師の貴重な時間を奪う行為なので、タラレバで異議申立を行うことは控えるようにとなっていたので、質問しました。

ムチウチの14級9級の認定基準は、
「外傷性頚部症候群等に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などから証明することはできないが、受傷時の状態や治療の経過などから連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。」

そして、12級13号の認定基準は、
「外傷性頚部症候群に起因する頭頸部や上肢、背部に残存する症状が、神経学的検査所見や画像所見などの多覚的所見により、医学的に証明しうるもの。」 とされています。

もう少し、具体的に踏み込むと、

○画像所見

頚椎、C5/6/7において、いずれか左右の末梢神経が圧迫されているMRI所見が得られていること、

○頚部神経学的所見

上腕二頭筋はC5神経根、腕橈骨筋はC6神経根、上腕三頭筋は、C7神経根が支配しています。

頚部神経学的所見

支配領域に一致して、深部腱反射所見は低下もしくは消失していなければなりません。

○筋委縮所見

痺れのある側の前腕・上腕周径が痩せていなければなりません。

○針筋電図所見

MRI所見の得られないときは、神経内科における針筋電図所見で神経原生麻痺を立証しなければなりません。

これらを、あなたの所見と比較します。
傷病名に、C5/6ヘルニアがありますが、MRI画像所見は説明されていません。
握力は、左低下、ジャクソン、スパーリングでは左に陽性です。
深部腱反射は、左で低下することなく亢進しており、神経根症状に一致しません。
MMTは5で正常ですから、おそらく筋萎縮はありません。
頚部の可動域は参考運動です。
圧迫骨折、固定術が実施されたときに限って、後遺障害の対象となりますが、本件ではスルーです。

以上から、本件が異議の申し立てで12級13号になる可能性はありません。
なお、公表されている数値では、異議申立で上位等級が認定される確率はNliro調査事務所で15%、自賠・共済紛争処理機構で17%です。

英語カブレの医師とお見受けしましたが、スペルの間違いがチャーミングなところです。
順番に説明をしておきます。

Jackson

Jackson、

Spurling sign

Spurling sign、
頚椎椎間板ヘルニアにおける神経根症状の誘発テストです

Bicep TRは、上腕二頭筋反射、Tricep TRは、腕橈骨筋反射のことです。
TRとは、反射、Tendon Reflexの略で、深部腱反射は、Deep Tendon Reflex、DTRと表示します。
PTRは、膝蓋腱反射であり、ATRは、アキレス腱反射のことと予想しています。
アキレス腱反射は、正確には、ACPと表記します。
MMTは、徒手筋力のことです。

Hoffman           Tromner            Wartenberg

Knee clonus Ankle clonus

これらは、いずれも異常反射のことです。
本件では、脊髄症状がなく、本来、必要な検査ではありません。

本件の傷病名は、頚椎椎間板C5/6ヘルニアであり、自覚症状として、頚部痛、左手の痺れ、左手の握力低下の訴えがなされています。
Nliro調査事務所は、上記の所見で14級9号を認定しています。
これに対して、12級13号とならないか? これが質問の骨子です。

まず、画像ですが、傷病名にC5/6ヘルニアとありますが、MRI所見の説明はありません。

神経根誘発テストでは、ジャクソン、スパーリングのいずれもが、左に+となっています。
ホフマン、トレムナー、ワルテンベルグ、足クローヌスは、脊髄損傷を示す異常反射ですが、これは、いずれも-で、異常所見はありません。
本件の傷病名であれば、そもそも、これらの検査を行う必要性がありません。

最後に反射ですが、上腕二頭筋、腕橈骨筋は亢進しており、自覚症状に一致しません。
膝蓋腱とアキレス腱反射も亢進していますが、これは頚部の腱反射ではありません。
やはり、行う必要のない検査です。

MMT、徒手筋力がすべて5で正常であり、おそらく筋萎縮はないと予想しています。
以上から、12級13号の認定は不可能と判断したものです。

法律事務所における無料相談では、
「症状がひどく、なんとか、12級にならないか?」 こんな相談が寄せられます。
「12級は難しいからねえ? 12級は滅多に認定されませんよ?」
大半の弁護士は、自信がなく、理解もできていないのですが、知らないと言えない人種でもあるので、上から目線で、このような回答をしています。

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