杉ちゃん

Q 自賠責保険の異議申立の請求権の時効について?

自賠責保険に請求したのですが、非該当になりました。
異議申立を検討していますが、症状固定日が2010年8月7日です。
症状固定日から2年が、異議申立の期限なのか、または、非該当の通知がなされたのが、2011年3月2日であり、この日から2年間有効なのか、どちらなのかをお教えください。

2010年4月1日以降の事故では、3年で時効消滅すると改正されました。
しかし、2010年3月31日までの事故では、2年で時効消滅が適用されます。
時効の起算点は、自賠責保険から、無責・非該当等の通知がなされた日です。
本件では、2011年3月2日から2年の経過で時効消滅すると考えてください。

Q 重過失事案、任意一括不能の理屈?

1/5、交通事故受傷しました。
私は、自転車で相手は車、交差点での交通事故ですが、目撃者証言により、私の赤信号無視です。
私の重過失であり、過失割合は、80:20と相手の保険会社から告知されています。

私は、救急車で搬送され、左膝の負傷で、現在、松葉杖での生活であり、通院、私生活では、タクシーでしか行動できない状態です。
相手の保険会社からは、任意保険としては一銭も支払うことはできない、当然、通院のタクシー代も支払を拒否しています。
自賠責保険は、120万円の限度額であるが、本件では、重過失事案であり、20%減額の96万円が上限と通告されています。

私は、治療を長引かせようと考えているのではありません。
治療費は、健康保険の適用としました。
仮に、私が負担した治療費が50万円、通院のタクシー代、慰謝料の合計が、96万円以内であれば、全額が自賠責保険から支払われるのでしょうか?
それとも、50万円の20%カットの40万円の支払となるのでしょうか?
健保組合が負担した治療費の70%分はどうなるのでしょうか?

治療費、通院のタクシー代、休業損害、慰謝料を個別に判断するのではなく、総損害額の20%がカットされ、支払の上限額が96万円と理解してください。

治療費が45万円、休業損害が34万2000円、通院交通費が3万5000円、6カ月の治療で、慰謝料が50万4000円、総損害額が133万1000円とします。
20%カットでは106万4800円となりますが、上限が96万円であり、96万円の支払となります。
健保組合が負担した70%の治療費105万円は泣き寝入りとなります。

任意保険の一括対応が拒否される理屈は、民法709条です。
本来、加害者として負担すべき損害額は、
総損害額の20%、240万1000円×0.2=48万0200円に過ぎません。
自賠責保険が96万円を負担したのであれば、48万0200円<96万円ですから、十分な損害賠償責任を果たしたことになり、自賠責保険を超えて支払う理由がありません。

任意自動車保険は、自賠責保険の上乗せ保険であり、本件では一括対応はなされません。

○弁護士目線

自賠責保険の時効は、2010年4月1日以降の事故から、3年と改正されています。
弁護士としては、承知しておかなければならない情報です。

被害者過失が大であれば、任意一括はアッケラカンと拒否されています。
しかし、この理屈が理解できる被害者は少ないのです。

①被害者は、自分に支払われるものが、本件事故による損害と理解している。
つまり、損害に治療費が含まれていることを理解していない。
被害者は、怪我をしたのだから、治療費が負担されるのは当然と考えているのです。

②さらに、自賠責保険と任意保険では過失の扱いが変わることで混乱が生じています。
自賠責保険は、自賠法により、被害者の過失が70%未満まで、過失相殺の対象としません。
ところが、任意保険では、民法709条により、最初から全損害額が過失割合の対象とされます。

③加えて、任意一括の拒否は、まだ総損害額が確定していない段階での、死刑宣告となるのです。

これらが、納得できない3つの理由です。

過失割合のカラクリについては、私は以下のような説明を行っています。

過失割合のカラクリ

例えば、治療費が150万円、被害者の損害額が150万円で、過失が30%であるとき、
総損害額は300万円、加害者が負担する損害額は、300万円×70%=210万円となります。
被害者に過失があっても、治療費の過失相殺はできません。
210万円-150万円=60万円が、被害者に支払われることになります。
被害者の過失は30%であるのに、被害者の取り分では60%の過失相殺が行われたことになります。
実際には、後遺障害部分の損害があり、この理屈一辺倒ではありませんが、被害者を納得させるには、効果的な説明です。

その上で、労災保険請求、健保組合に対する傷病手当金の請求等、救済措置を説明しています。