皆様、明けましておめでとうございます。
本年の主眼点は、全国規模で交通事故無料相談会を開催することです。
北海道から沖縄に至る全国の主要都市を回り、1年間で2000人以上の被害者と面談します。

NPO交通事故110番の記事出しでは、あくまでも被害者目線で回答を続けていますが、エキスパートでは、同じ質問に対して、弁護士目線では、どう捉えるべきか? これをテーマとしています。
回答力をあげることが信頼につながるからです。

本年もよろしくお願い申し上げます。

Q 後十字・内側側副靱帯の一部断裂、両側半月板の損傷?

後遺障害認定について質問します。
MRIで後十字・内側側副靱帯の一部断裂、両側半月板の損傷が認められたのですが、事前認定の結果は14級9号でした。
異議の申し立てで、12級7号が認定されるでしょうか?

立証せざるもの後遺障害にあらず!

ストレス・レントゲンの撮影を受けました。
大腿部と下腿部の計測の結果、左右で2cmの差が認められました。
医師の説明でも、後十字靱帯の一部断裂の影響で、後方向に動揺関節が見られるようです。

Posterior sag テスト

Posterior sag テスト

後十字靱帯断裂では、膝を90°屈曲させると、下腿の重みで脛骨が後方に落ち込みます。
部分断裂であれば、脛骨上端を後方に押し込むと、膝がぐらつきます。
ストレス撮影により、このぐらつき、落ち込みを具体的に立証します。
ストレス撮影で立証された動揺性の画像所見ですが、病院備え付けの診断書に、「左右差で○膝に後方○cmの動揺性を認める。」 具体的な記載を受けます。
それを新たな医証として異議申し立てとします。
ストレスXP画像の添付だけでは、不十分です。

大腿部と下腿部が、左右で2cmの差が認められました。
それは筋萎縮検査のことで、動揺性を立証したことにはなりません。
しかし、動揺性が認められる側に筋萎縮があれば、補強証拠になります。
ストレス撮影の結果、8~10mmの動揺性が確認できれば、12級7号が認定されます。

両側半月板

他に、両側半月板損傷の傷病名があります。
半月板は軟骨ですから、切除されたのであれば、膝関節は変形を来します。
両膝のXP正面像で、損傷を受けた膝に変形が認められるかを確認してください。

半月板損傷では、運動時の疼痛と痛みによる可動域制限が後遺障害の対象です。
この症状があるときは、先の撮影を受け、膝関節の可動域についても計測を受けてください。
本件は、異議の申し立てですから、後遺障害診断書に記載を受ける必要はありません。
病院備え付けの診断書で十分です。

○弁護士目線

「MRIで後十字・内側側副靱帯の一部断裂、両側半月板の損傷が認められたのですが?」

kansetu

膝関節の機能障害では、屈曲・伸展の可動域制限が代表的ですが、後十字・内側側副靱帯の損傷では、動揺関節が機能障害として評価されることになります。
一方、両側半月板損傷では、運動時の疼痛が後遺障害の対象です。
疼痛により運動制限を残すこともありますが、左右の膝関節のXP画像の比較で、変形性膝関節症が認められなければ、12級7号レベルには達しません。

動揺性はストレス・レントゲン写真で立証しなければなりません。
動揺性の立証もなく、漫然と記載された後遺障害診断書では、14級9号、非該当になります。

本件では、2cmの筋萎縮が認められています。
患側に筋萎縮が認められるときは、動揺関節、変形性膝関節症の立証に成功すれば、異議申立で12級7号が認定される可能性があります。

着手すべき案件となりますが、既に着手していた案件で14級9号となったときは、「後遺障害診断書から読み取ることができなかった?」 実力不足を厳しく反省しなければなりません。