第4回 実務講座 事前学習 3

 (2)骨盤骨折

骨盤骨折

骨盤は左右の恥骨、坐骨、腸骨、そして仙骨で構成されています。
後方は仙腸関節で、前方は恥骨結合で融合されています。

骨盤輪の中には、S字結腸、直腸、肛門、膀胱、尿道、女性では、これらに加えて、子宮、卵巣、卵管、腟が納められています。消化管は下腸間膜動脈、女性性器は卵巣動脈と子宮動脈、泌尿器系は内腸骨動脈で支配されています。

交通事故では、前方からの外力で恥骨骨折、坐骨骨折、恥骨離開を、下方からの外力では恥骨骨折、坐骨骨折、同側の仙腸関節離開、寛骨臼骨折を、そして外側からの外力により寛骨臼骨折、腸骨骨折を生じます。

骨盤骨折の後遺障害で注目すべきは、以下の3点です。
①骨盤の安定性が保たれ、骨盤骨に変形が認められないもの?
②骨盤骨に不安定性があり、創外固定等がなされるも、大きな変形を残したもの?
③骨盤輪内の臓器の損傷が認められもの?

骨盤骨折

①骨盤の安定性が保たれ、骨盤骨に変形が認められないもの?
腸骨翼骨折(ドーヴァネイ骨折)・恥骨骨折・坐骨骨折などは、骨盤の安定性が保たれているので安静を保つだけで、後遺障害を残すことなく治癒します。

腸骨翼の骨折は単独骨折であっても骨盤腔内に3000mlを超える大出血をきたすことがあり、出血性ショックに対応して全身管理を行っていく必要がありますが、これは治療上の問題で、後遺障害を獲得する上では、関係のないことです。

★理解のポイント
□まず、事故直後の画像から骨折の形状をじっくりと観察することです。
□次に、症状固定時の画像をチェック、骨癒合を確認します。
□骨癒合に変形が認められるときは、変形に伴う痛みの神経症状が後遺障害の対象になります。
□恥骨・座骨の骨折であっても、結合離開が大きいときは、股関節に機能障害を残していないか?
下肢に短縮が認められないか?股関節に変形が認められるか? 精査しなければなりません。