第4回 実務講座 事前学習 3

(2)骨盤骨折

②骨盤骨に不安定性があり、創外固定等がなされるも、大きな変形を残したもの?

① 疼痛、下肢の運動障害など、骨盤骨折自体に関するものなのか?
②骨盤輪内の臓器の損傷を伴っていないか?
③内腸骨動脈などの血管の損傷を発症していないか?

骨盤骨折では、死に至る重症例が多発するところから、治療先のあつかいは大変、神経質です。
しかし、それは治療先の対応であり、後遺障害と損害賠償を担当する我々の問題ではありません。
内臓損傷が想定される骨盤骨折の傷病名は、straddle骨折やMalgaigne骨折と記載されています。

straddle骨折xp

straddle骨折

骨盤輪の連続性が損なわれているようなstraddle骨折やMalgaigne骨折の場合、骨盤の安定性が失われ、骨盤がぐらつきます。

Malgaigne骨折

骨盤は、骨盤輪と呼ばれる内側でぐるりと輪を作っています。
この骨盤輪が一筆書きに連続しているので、骨盤は安定しています。
骨盤複垂直骨折は、この骨盤輪を形成している骨盤が2カ所骨折したものですが、2カ所の骨折により骨盤の安定性が損なわれます。

転位の認められるものは、観血術により、骨盤骨を内固定、もしくは創外固定としています。
内固定や創外固定で元通りの骨盤に戻ることは、ほとんどありません。
大きく歪み、変形して骨癒合することが通常であり、後遺障害では、ここが着眼点となります。

内腸骨動脈の損傷では、スポンゼルコイルを使用し両側内腸骨動脈の根元から血管塞栓術が実施されるのですが、血管塞栓術の合併症として、男性ではインポテンツの可能性が指摘されています。
そこで、本日はインポテンツの立証について検証します。

従来、勃起障害はAVSS検査で立証すればよかったのです。
ところが現在、AVSS検査は採用されていません。
現在は、夜間陰茎勃起装置、リジスキャンとPGE1テストが採用されています。

勃起障害の立証?
①夜間睡眠時に十分な勃起が認められないことが、リジスキャンRによる夜間陰茎勃起検査により証明されていること。
体に器質的障害のない男性は睡眠中のレム睡眠と並行して、性的刺激の伴わない勃起現象が起こるのですが、これを夜間陰茎勃起、nocturnal penile tumescence、NPTと言います。
睡眠中は勃起を自覚することはできませんが、その名残が早朝勃起、朝立ちとなります。
自然な勃起の検査をする目的で、夜間陰茎勃起をリジスキャンと呼ばれる記録装置で記録します。
リジスキャンで、生理的陰茎勃起が確認できれば、器質的障害は否定されます。
このときは、心因性EDと診断されます。

②支配神経の損傷等勃起障害の原因となり得る所見が、会陰部の知覚、肛門括約筋のトーヌス・自立収縮、肛門反射および球海綿反射筋反射による検査のいずれかにより証明されること。
支配神経の損傷は、術時のカルテ、MRI検査、3DCTで立証しなければなりません。
肛門周辺を突っついただけで、立証したことにはなりません。
なお、この検査は神経因性膀胱の検査でも行われています。

支配神経の損傷等勃起障害

会陰部とは、俗に蟻の門渡りと呼ばれる外陰部と肛門の間の部分です。

③PGE1テスト プロスタグランジンE1海綿体注射による各種血管系検査
PGE1テストとは、血管拡張薬のプロスタグランジンE1を陰茎海綿体に注射して勃起反応をみる検査で勃起障害が立証されていることが要件となります。

①と②もしくは③のいずれかが立証されていれば、生殖機能に著しい障害を残すものとして9級16号が認定されます。

★理解のポイント
□泌尿器科を受診、勃起障害を訴えても、先の検査が実施されることはありません。
バイアグラを処方して、「試してごらん?」これで終わりです。
そして、検査結果を示さなければ、勃起障害として、絶対に等級認定はありません。

□夜間陰茎勃起検査やPGE1検査を行ってくれる泌尿器科を探し出すことから始めます。
どこの泌尿器科でも実施してくれる検査ではないからです。
主に、医大系の泌尿器科、性機能外来のあるところを検索してください。

□不明な点は、エキスパート株式会社に質問してください。