(4)右脛骨プラトー骨折に合併する半月板損傷?

脛骨プラトーとは、脛骨上面であると説明しました。
脛骨は軟骨で覆われ、さらに左右の両端には三日月型の半月板、軟骨組織に囲まれています。

膝関節

その脛骨上面が膝関節に加えられた衝撃により骨折するのが脛骨プラトー骨折です。
プラトー骨折に伴い、軟骨や半月板の組織が損傷、欠損しても不思議なことではありません。

さて、膝関節には関節を支え、左右前後のズレを防止している靭帯の他に、関節の動きを滑らかにし、クッションの役目を担当する半月板という組織があります。
大腿骨と脛骨の間に存在し、モンコイカの刺身をイメージさせる色と硬さの軟骨のクッション、上下の圧力を分散し、関節軟骨を保護しているのです。
半月ではなく、三日月を少し太くしたような形をしています。
医学的には、細胞外線維性基質と説明する軟骨の一種です。

膝は、体重の負荷が大きくかかる部位であり、日常のスポーツでは、片方の足に体重の10倍以上の負荷がかかることも報告されています。
当然に、半月板も大きな力を受けることになります。
交通事故では、膝に対する強い打撃により、吸収しきれないほどの負荷がかかり、半月板が欠ける、あるいは断裂する状態となります。

膝関節が外側に強制されたときは、内側半月板が、膝関節が内側に強制されたときは、外側半月板を損傷します。

膝関節MRI

美しく優しい組織なのですが、一たび、これが割れたり切れたりしようものなら、めくれこんで関節軟骨を削ったり、骨と骨の間に引きずり込まれたりして大暴れをするのです。

痛みや炎症による腫脹、膝のロッキング等が認められます。
半月板の辺縁部には血管が存在し、損傷が、血管の存在する辺縁部まで達したときは、関節内に出血します。 可動域制限や膝を曲げるとグキグキの異常音を発します。

①マクマレー・テスト
仰向けで、膝を最大限曲げ、ゆっくりと足を動かすと、膝に激痛やグキグキの異常音が聞こえます。

マクマレー・テスト

②グリンディング・テスト
うつ伏せで、膝を90度屈曲し、踵を下に押しつけながらまわすと痛みを発します。

グリンディング・テスト

上記のテスト以外に、単純XP撮影、CTスキャン、関節造影、MRIなどにより診断をしていますが、MRIがとても有効です。関節鏡検査は、直接、半月板の損傷を確認することができます。

無料相談会では、このテストを実施しています。
被害者が女性のときは、このテストを想定してパンツスタイルで参加をお願いしています。

半月板の大部分は血液を送り込んでいる血管がありません。
そのため、半月板損傷に対する治療法は、温熱療法、関節内に直接ステロイドを注入する薬物療法、痛み止めや消炎鎮痛剤等の内服、リハビリテーションなどの保存的治療が中心となりますが、近年は、放置すると変形性膝関節症に発展するところから、手術が選択されます。
手術は、断裂部位の縫合か、切除の2者択一です。

関節鏡検査

関節鏡検査

手術は関節鏡という小さなカメラを関節に入れて、モニターテレビで関節の中を見ながら行います。術後は膝をギプス固定し安静を保ちます。
縫合の場合は、術後6週間、切除の場合は、2週間で社会復帰が可能です。

単独損傷で後遺障害が残ることはありませんが、交通事故では、プラトー骨折、MCL、ACL損傷に合併するものが大半です。この場合は、動揺関節が後遺障害の対象となるのです。

半月板は軟骨組織であり、欠損した部分が再生することはありません。
しかし、近年、自分の膝の滑膜組織からとった幹細胞で半月板を再生させる治療法が日本で開発され、現在臨床研究が進んでいます。
近い将来、半月板の再生治療が実現する可能性が高まっています。

半月板損傷では、大きな後遺障害を残すことはありませんが、動作痛を残していれば、神経症状として14級9号、変形性膝関節症に進行しているときは、12級13号が認定される可能性を残します。
これらを丁寧にチェックして、併合による上位等級の獲得を検証するのです。