(7)右脛骨プラトー骨折に合併する複合靭帯損傷?

膝関節の安定性は、靭帯で制御されています。
膝関節には、4つの主要靭帯、ACL前十字靭帯、PCL後十字靭帯、MCL内側側副靭帯、LCL外側側副靭帯 があり、PLS膝関節後外側支持機構と共に、膝の安定性を保持、正しい運動軌跡を誘導しています。

ACL前十字靭帯は、脛骨が前方にずれることを制御しています。
PCL後十字靭帯は、脛骨が後方にずれることを制御しています。
MCL内側側副靭帯は、膝関節の外反=X脚となるような方向を制御しています。
LCL外側側副靭帯は、膝関節の内反=O脚となるような方向を制御しています。

複合靭帯損傷?

膝の複合靭帯損傷とは、上記の4つの靭帯中、2つ以上の靭帯が損傷を受けた状態を言います。
単独の靭帯損傷に比して、膝関節の不安定性が大きく、同時に半月板損傷や軟骨損傷、PLS膝関節後外側支持機構の損傷を合併する頻度も高く、相当に高度な機能障害をもたらします。
交通事故で、大きな外力が膝に集中したときは、これらの靱帯が同時に損傷することがあります。
その際に生じる機能障害は、個々の靱帯が損傷した場合より重大なものとなります。
例えば、PCL後十字靭帯は、下腿が後方に落ち込むことを防ぐ働きがあります。
また、LCL外側側副靭帯は、下腿が内反=内側に折れ曲がることを防いでいます。
仮に、PCL後十字靭帯とLCL外側側副靭帯を同時に傷害すると、下腿が後方に落ち込んだり、内反しやすくなったりするだけでなく、下腿がねじれるように後外側にずれる、回旋不安定症状が出現します。

複合靭帯損傷の機能障害は複雑かつ深刻です。
治療・手術も当然に高い技量が要求され、仮に損傷した靱帯を全て再建したとしても、予後は不良で、膝の不安定性を残す、反対に硬くなり過ぎて膝の可動域制限を残すことも予想されます。
複合靱帯損傷では、どの靭帯を再建するか、損傷の程度や受傷からの時間、また、その患者の活動性などを考慮した上で決定しなければならず、いずれにしても医大系のスポーツ外来、膝の専門医を頼ることになります。

○PLS膝関節後外側支持機構の損傷
PLS損傷は、後十字靭帯損傷などと同時に起こり見逃されることが多く、最近、専門医の間でも、PLS損傷に注目、見直されるようになっています。
この靭帯を損傷すると、過剰な膝の捻れや膝の外側の緩みが起こり、膝に不安定性が生じます。

PLS靭帯損傷の治療は、前十字靭帯、後十字靭帯損傷に対する靭帯再建術のような、ゴールドスタンダードがなく、経験則に基づいて、様々な手術方法が選択されていますが、私の知る専門医は、大腿二頭筋腱の半分を移動させて、後外側構成体の機能を回復する手術方法で対応しています。