(8)右脛骨プラトー骨折に合併する腓骨神経麻痺?

下肢イラスト

腓骨神経は、下腿を走行する神経ですが、坐骨神経から腓骨神経と脛骨神経に分かれます。
腓骨神経は、膝の外側を通り、腓骨の側面を下降して、足関節を通り、足指に達します。

私の最初の経験では、平成11年1月、友人の車に同乗中、交差点で出合い頭衝突し、右膝部をダッシュボードで打ちつけるダッシュボード・インジュリーで右腓骨神経麻痺を発症しました。
被害者は24歳のOLで、右下腿骨に脱臼や骨折は認められておりません。
その後、彼女は2年間、リハビリを続けましたが、改善は得られず症状固定となりました。

膝のプラトー骨折、前・後十字靭帯損傷、足関節の内外果骨折等、下腿骨の脛・腓骨の骨折に伴って発症、先の女性は2年間のリハビリ治療をおこないましたが、通常は、受傷後6ヵ月で症状固定です。

腓骨神経の圧迫や絞扼性のものは、その因子を除去してやれば、改善が果たせますが、腓骨神経の断裂は非可逆性で、改善は期待できません。

腓骨神経は足関節と足指に支配領域を持っています。
腓骨神経が麻痺すると、自分の意思で足首を曲げることができなくなります。
足指も下に垂れたままの状態となり、自力で背屈ができません。
これを医学の世界では内反先足による下垂足と言います。

下垂足

具体的には、足指と足首が下に垂れた状態ですので、靴下がうまく履けません。
同じことは靴を履くときにも見られます。
その都度座って、片手で足を支えてやらないと、靴下も靴もうまく履くことができないのです。

車の運転も右足でアクセルやブレーキを踏むことはできません。
スリッパやサンダルは歩いているうちに脱げてしまいます。
走行・正座・和式トイレの使用は当然に不可、右下腿をしっかり保持できませんので、常時、杖の使用が必要となります。

深刻なのは、右下腿部の疼痛と筋拘縮です。
右下腿部は常に痺れたような重だるい疼痛が持続します。
この痛みと腓骨神経麻痺により血流障害が発生、下腿全体の筋肉が拘縮・萎縮を示します。
放置すれば、右下腿は廃用性萎縮となり、スカートがはけなくなります。
これを防止する意味で、リハビリ治療が欠かせません。
常に整体やマッサージで筋肉を揉みほぐしてやる必要が絶対にあるのです。

(3)治療と後遺障害
治療は、下垂足のままだと、歩くことも困難で日常生活を送るのにも非常に不便ですから、足首を固定する、距踵関節固定術をおこないます。
後遺障害等級は、手術に関係なく、足関節の用廃と足趾の用廃で7級相当が認められます。

(4)立証のための必要な検査
①腓骨神経麻痺は針筋電図検査、神経伝達速度検査で、脱神経所見を証明しなければなりません。

針筋電図検査、神経伝達速度検査

②前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋・腓骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋の左右の徒手筋力テストを受け数値の記入を受けます。

③足関節および足指の背底屈について、他動値は正常ですが、自動値ではピクリとも動きません。

Nliro調査事務所は、関節の機能障害については、医師が手を添えて計測する他動値を基準にして後遺障害等級を認定しますが、本件は、他動値では正常を示すところから、神経麻痺のため自動値で計測を行ったと、後遺障害診断書に追加記載をしておく必要があるのです。

ここまでやって初めて、7級相当が認定されるのです。
そして、被害者が指摘しない限り、主治医が、このことに気付くことはありません。

この傷病名をご存じない、整形外科医が大多数なのです?
上記の3点をきっちりと押さえておかないと、足指の用廃で9級15号が認められるのも、容易ではありません。