高次脳機能障害?

(2)面談によるチェック
いよいよ高次脳機能障害の相談者が事務所に来所しました。
症状の質問に入る前に前提条件と注意点があります。
他の部位の後遺障害にはない独特なものです。

☐被害者が1人で訪問、あるいは家族のみで訪問されたのか?
高次脳機能障害の被害者に特徴なのは、病識の欠如です。
病識とは、自分がケガで障害を被っているという自覚です。
大多数で、本人は十分に回復していると認識しているのです。

大阪府摂津市千里丘の被害者ですが、阪急電車で烏丸駅、地下鉄に乗り換え国際会館駅、そこから徒歩で15分、当時の京都、岩倉にあった事務所を突然訪問してきました。
「受傷から6カ月が経過、自分は回復しており、就労復帰を果たしたいが、治療先、家族、勤務先がそれを許さないのでなんとかして欲しい?」 こんな質問でした。
奥様に連絡を入れ、後日の同行による面談を依頼しました。
その後、治療先の協力を得て立証作業を開始したのですが、2級1号が認定されました。
本当のところは、随時介護を必要とする高次脳機能障害のレベルであったのです。

したがって、同居の家族から状況の説明を受けないと、障害の有無・程度が分からないのです。
また、家族の方だけの相談では、本人の様子を観察することができません。
改めてお連れいただくか、外出が難しいときは、本人に会いに行く必要が生じます。

☐被害者の話し方、様子を注意深く観察します。
同時並行的に、家族から日常生活でのエピソードを聴取、ギャップを抽出します。

ここでは、言語機能に関する障害をチェックします。
3級3号でも、普通に会話ができて一見、問題なく回復したように見える被害者が存在しています。
しかし、話を続けていると、同じことをなんども繰り返す、話しが回りくどい、意味不明なことをとうとうと述べる、よくどもる、言葉が出てこないで考え込んでしまうなど、異常が見えてきます。

高次脳機能障害

また些細なことで興奮、激昂する、不快な感情を露わにし、ムッとする、僅か10分前後の面談でも疲れ切ってうなだれる、気が散って落ち着きがなく、キョロキョロ見回す、子供のように家族に甘える等、顕著な兆候が現れてくることもあります。

受傷以前からそのような方もいますので、ここで、家族の意見が重要となります。
受傷前との比較は、家族しかできないことです。

相談を受ける弁護士のみならず、主治医でさえ、受傷前の被害者を知らないのです。
まして一見、普通に歩き、普通に会話する患者であれば、「もう治った、障害がなくてよかった?」 簡単に断定してしまう医師もたくさんいます。
10分足らずの限られた診察時間で、主治医が些細な変化に気付かないことは無理もありません。
主治医は24時間患者と生活を共にし、観察しているわけではないのです。
主治医のみに頼って異常を立証することはできません。
慎重に、時間をかけて家族からの聴取をしなければ、医師も弁護士も見落とす、繊細な障害です。