(6)解決の選択肢?

保険屋さんとの相対交渉による訴外解決、
交通事故紛争処理センターに示談の斡旋を求めて解決、
訴訟提起による解決、

①保険屋さんに舐められないこと?

選択肢は、上記の3つですが、いずれにしても、保険屋さん側の主張と正面から戦って、赤本基準100%を達成しなければ、保険屋さんには決定的に舐められることになります。

弁護士法人A、S、M法律事務所では、保険屋さんは訴外解決であることを理由として赤本の70%程度を提示しています。
これでも、弁護士が依頼者を説得しますから、査定の下請けとしての位置で、歓迎されているのです。

保険屋さんからの内部情報です。
外傷性頚部症候群で12級13号を獲得した主婦に対して、保険屋さんは317万円の損害賠償額を提示しました。納得の行かない主婦は、大手弁護士法人に解決を依頼しました。
弁護士の求めにより、保険屋さんが改めて提示した金額は490万円です。
この弁護士は、これ以上は難しいと被害者を説得して解決としました。
費用は、21万円+差額の21%ですから、47万3000円です。
本当は、被害者が紛争処理センターに持ち込めば、費用は無料で、729万4200円となったのです。
1回でも舐められると、それからではギアーチェンジができなくなります。

②保険屋さんは、シタタカです?

訴訟ベースであっても、顧問医の意見書で対抗、大多数を和解に持ち込んでいる実績があります。
保険屋さんはしたたかです。
これに対抗するのであれば、弁護士も専門医を確保しておかなければなりません。

まして、高次脳機能障害等、1・2・3級の損害賠償は、被害者の残された人生のすべてです。
家族状況から介護の実態を検証し、職業介護人+家族介護を緻密に立証しなければなりません。
安易にチャンチャン和解に応じるなど、言語道断です。

③自賠法と民法?

後遺障害等級を審査、認定しているのは、損害保険料率算出機構調査事務所ですが、拠り所にしている根拠法は自動車損害賠償保障法です。

自賠法における後遺障害とは、「自動車事故による傷害がなおったときに、残存する当該傷害と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復が困難と認められる精神的または身体的な毀損状態であって、その存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うものを後遺障害による損害として損害賠償の対象としているもの。」 と定義しています。
そして、症状固定については、「傷害がなおったときとは、傷害に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき。」と説明されています。
後遺障害の概念を知ることは重要です。
ここでいう労働能力とは、一般的、平均的労働能力のことです。

後遺障害等級の仕組みとしては、介護を要する後遺障害は別表Ⅰ、それ以外は別表Ⅱで規定しています。別表Ⅰでは、常時介護と随時介護の2つに分類していますが、別表Ⅱでは等級を1級から14級の14段階に区分して、その中に140種の類型的な後遺障害を押し込んでいるのです。

したがって、自賠責保険が規定する後遺障害等級表では、
A労働能力の喪失の程度が異なる後遺障害が同一等級として格付けされていること、
以下の1および12と13が同じ評価でいいのか?
B同種の後遺障害では、労働能力喪失の程度が一定の範囲内にあるものをくくって同一の等級に格付けされている問題を残しているのです。
4、5の評価に間違いはないか?

例えば、労働喪失能力56%の後遺障害等級7級では、以下の13に分類されています。

  1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下となったもの、
  2. 両耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの、
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの、
  4. 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの、
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの、
  6. 一手の親指を含み3の手指を失ったものまたは親指以外の4の手指を失ったもの、
  7. 一手の5の手指または親指を含み4の手指の用を廃したもの、
  8. 一足をリスフラン関節以上で失ったもの、
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの、
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの、
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの、
  12. 外貌に著しい、醜状を残すもの、
  13. 両側の睾丸を失ったもの、

上記のような問題を残していますが、自賠責保険は、別表Ⅰ・Ⅱの分類からくる制約であり、やむを得ないものとしています。

別表Ⅱの後遺障害が2以上あるときは、原則として重い方の後遺障害等級とする。
ただし、13級以上の後遺障害が2以上あるときは、重い方の等級を1級繰り上げる。
8級以上の後遺障害が2以上あるときは、重い方の等級を2級繰り上げる。
5級以上の後遺障害が2以上あるときは、重い方の等級を3級繰り上げる。
14級の後遺障害が複数認められたときは、繰り上がりはなく、14級のままとする。
併合の結果、1級を超えるときは、1級を認定する。後遺障害等級表に掲げるもの以外の後遺障害については、介護の必要性と後遺障害の程度に応じ、後遺障害等級表に掲げる後遺障害に準じて、その等級を定めることとされており、これにより決められた等級を相当級といいます。
併合により繰り上げを行ったときの保険金額は、各々の等級の保険金額の合算額を超えないことと規定しています。
既に後遺障害のあった者が、同一の部位について後遺障害の程度を加重したときの自賠責保険金額は、現在の等級による保険金額から、既にあった等級の保険金額を差し引いた額となります。

自賠法は、元々問題含みであることを、シッカリと理解してください。

ところが司法における民事上の争いでは、民法を根拠法としています。
そして、民法は自賠法の上位に位置しています。
自賠法では等級認定上、加味されていませんが、依頼人の年齢、職種、利き腕、知識等の職業能力的な諸条件は、訴訟で損害賠償を求める際には、重要な要件となります。
自賠法に基づき認定された等級に盲目的に従うのではなく、依頼人の実状を加味して、自賠法の問題点には大胆に踏み込むべきと期待しています。

④新しい判例を残す?

先と一部かぶりますが、報酬を一定程度無視して、新しい判例の獲得を期待しています。

2010-610、京都地裁で醜状痕の男女格差について、違憲判決が確定しています。
これにより、労災保険と自賠責保険の認定基準は以下に改正されました。
A 7級12号の「女子の外貌」を「外貌」に改めること、
B 9級16号を9級17号に改め、9級16号は、「外貌に相当程度の醜状を残すものとすること」
C 12級14号の「男子の外貌」を「外貌」に改め、14級15号を削除すること、
D 14級10号を削除すること、

そして、弁護士は損害賠償交渉では、最上位に位置しています。
新しい判例の獲得を期待しています。