このページでは、後遺障害等級の序列について、具体的な事例で検討します。上肢の損傷と後遺障害について、複数の事例を考えましょう。

上肢の後遺障害等級

上肢の序列は、以下の9段階の序列とされています。

1級3号 両上肢を肘関節以上で失ったもの
1級4号 両上肢の用を全廃したもの
2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの
4級4号 一上肢を肘関節以上で失ったもの
5級4号 一上肢を腕関節以上で失ったもの
5級6号 一上肢の用を全廃したもの
6級6号 一上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7級9号 一上肢の偽関節を残し、著しい障害を残すもの
8級6号 一上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8級8号 一上肢に偽関節を残すもの
10級10号 一上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 一上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
上肢の骨格図は複雑です。

対象となる事案

一上肢の3大関節中の3関節に障害を残したときは、なん級が認定されるのですか?

該当する序列

10級10号 一上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 一上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

あてはめ

右肩関節が12級6号、右肘関節が12級6号であったと仮定します。
12級6号の上位は10級10号となり、序列の差は2つとなります。
序列の差が2つ以上であったときは、後遺障害の序列にしたがって、中間の等級11級を認定します。

対象となる事案

一上肢の肩関節と肘関節の用廃、手関節に著しい障害を残したときは、なん級が認定されますか?

該当する序列

5級6号 一上肢の用を全廃したもの
6級6号 一上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

あてはめ

右肩関節と右肘関節が用廃であれば、6級6号の認定です。
上述の例で右手関節に10級10号が認められたのですから併合5級になるのではないか?
しかし、残念なことに、5級6号 「一上肢の用廃」 には至りません。

6級6号の上位は5級6号であり、序列の差は1つとなります。
中間の等級が存在しないので、一上肢の全廃に至らない限り、認定等級は下位等級の6級とされます。

対象となる事案

右上肢の手と肘関節の用廃で6級6号、右上腕骨の偽関節で8級8号が認定されたとき、最終等級は、2級繰り上がって4級になるでしょうか?

該当する序列

後述

あてはめ

結論から申し上げると、この事案では4級には繰り上がりません。
本件は機能障害ですが、後遺障害の序列では、機能障害の上位に欠損障害が位置しています。
欠損障害は、労働能力の完全喪失であることがその理由です。
同一部位に欠損障害以外のいかなる後遺障害が残存したとしても、欠損障害の程度には達することがないのです。
本件で併合4級を認定すれば、4級4号 「一上肢を肘関節以上で失ったもの」と同等になります。
さらに、5級4号「一上肢を腕関節以上で失ったもの」よりも上位の位置することになります。
この場合は、序列の調整が行われ、6級相当が認定されることになります。

機能障害が欠損障害と同等に扱われる場合

ただし、ここにも例外が存在しています。
機能の全部喪失については、欠損障害と同等に評価されており、以下の4つがそれに該当します。 

1級3号 両上肢を肘関節以上で失ったもの
1級4号 両上肢の用を全廃したもの

1級5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
1級6号 両下肢の用を全廃したもの

系列を異にする2つ以上の後遺障害が残存したときで、後遺障害等級表上、組み合わせにより等級が定められているものについても、その等級間に序列、上位下位の関係が明らかにされています。
系列を異にする2つ以上の後遺障害では、原則として併合の方法が用いられていますが、上位下位の序列に留意して等級を判断することになります。
この場合であっても、両上肢・両下肢の欠損障害については、後遺障害等級表に組み合わせ等級が掲げられており、その等級以外の格付けはあり得ません。

1級3号 両上肢を肘関節以上で失ったもの
1級5号 両下肢を膝関節以上で失ったもの

上記の等級に達しないものはすべて、以下の下位等級に相当するものとして扱われています。

2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの
2級4号 両下肢を足関節以上で失ったもの

参考までに、手指の序列は、以下の11段階の序列とされています。

3級5号 両手の手指の全部を失ったもの
4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの
6級8号 一手の5の手指または親指と人差し指を含み4の手指を失ったもの
7級6号 一手の親指および人差し指を失ったもの、または親指もしくは人差し指を含み3以上の手指を失ったもの
7級7号 一手の5の手指または親指および人差し指を含み4の手指の用を廃したもの
8級3号 一手の親指を含み2の手指を失ったもの
8級4号 一手の親指および人差し指または親指もしくは人差し指を含み3以上の手指の用を廃したもの
9級12号 一手の親指を失ったもの、人差し指を含み2の手指を失ったもの、または親指および人差し指以外の3の手指を失ったもの
9級13号 一手の親指を含み2の手指の用を廃したもの
10級6号 一手の人差し指を失ったものまたは親指および人差し指以外の2の手指を失ったもの
10級7号 一手の親指の用を廃したもの、人差し指を含み2の手指の用を廃したもの、または親指および人差し指以外の3の手指の用を廃したもの
11級8号 一手のなか指またはくすり指を失ったもの
11級9号 一手の人差し指の用を廃したものまたは親指および人差し指以外の2の手指の用を廃したもの
12級9号 一手のなか指またはくすり指の用を廃したもの
13級5号 一手の小指を失ったもの
13級6号 一手の親指の指骨の一部を失ったもの
13級7号 一手の人差し指の指骨の一部を失ったもの
13級8号 一手の人差し指の末関節を屈伸することができなくなったもの
14級6号 一手の小指の用を廃したもの
14級7号 一手の親指および人差し指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
14級8号 一手の親指および人差し指以外の手指の末関節を屈伸することができなくなったもの