このページでは、交通事故の後遺障害等級認定における原則と準則の適用方法のうち、「加重」の取扱について事例を元に解説します。

後遺障害等級の「加重」とは

自賠法施行令2条2項では加重障害を規定しており、「すでに後遺障害のある者が、自動車事故により同一の部位について後遺障害の程度を重くしたときは、加重した限度で保険金額を認定する。」と記載されています。

「すでに後遺障害がある者」とは、本件事故の発生前に、すでに後遺障害のあった者のことです。
その後遺障害については、先天性、後天性、自動車事故によるもの、賠償を受けたか受けないかに関係なく、後遺障害等級表に定める程度の後遺障害が存在していた者をいいます。

加重とは、自動車事故により新たな傷害が加わった結果、後遺障害等級表上、既存障害よりも重くなった場合をいいます。自然的経過や既存障害の原因である疾病の再発等、新たな自動車事故以外の事由で後遺障害の程度を重くしても、加重と判断されません。同一部位に新たな傷害が加わったとしても、既存障害以上の後遺障害が発生しなければ、加重とはなりません。

事例1「受傷前の手指用廃、受傷後切断」

事故前の業務中の受傷で右人差し指の用を廃していた被害者が、今回の事故で右人差し指を切断するに至りました。自賠責保険の認定等級と保険金の支払額はいくらになるでしょうか?

右人差し指の用廃は12級10号、右人差し指の切断は11級8号です。
等級は、右手人差し指を亡失したものとして11級8号が認定されますが、保険金支払では、11級331万円から12級224万円が差し引かれ、331万円-224万円=107万円の支払となります。

事例2「2回目の交通事故受傷」

10年前の交通事故受傷で右手関節が用廃との認定を受けています。今回の事故で、右手関節の切断となりました。
自賠責保険の認定等級と保険金の支払額はいくらになるでしょうか?

右手関節の用廃は8級6号、右手関節の切断は5級4号です。
等級は5級4号の認定ですが、保険金支払では、5級1574万円から8級819万円が差し引かれ、1574万円-819万円=755万円の支払となります。