交通事故の解決において、当サイトでは被害者請求での後遺障害等級認定を推奨していますが、このページでは、その理由について説明します。

1.一括社意見書の存在

事前認定では、一件書類に一括社意見書を添付することが義務づけられています。本来は、長く担当してきた任意保険として、被害者の実情を正しく伝える目的で義務づけられたと思われるのですが、現在は、被害者の後遺障害を薄める目的でこれらが利用されています。
「お気の毒な被害者ですから、上位等級を認めてください?」
こんなことは、絶対に書かないのです。
意見書は保険会社に有利となります。

  • 医師でもない保険調査員が作成した医療調査のレポートを添付する。
  • 被害者を診察したこともない顧問医の好き勝手な意見書を添付する。
  • 被害者に関係ない治療先の問題点を指摘する。

このような様々な工作が秘密裏に展開されているやも知れません。被害者請求ではこのような意見書の添付は要求されておらず、意見書の添付を回避するのであれば、被害者請求しかありません。
被害者請求か、事前認定なのかは大差なく、問題は内容であると指摘される専門家がおられますが、それは一括社意見書の存在を承知していない軽はずみな意見展開です。
保険屋さんは、支払うことに、大変臆病な人種なのです。

2.認定に至る時間の問題

保険屋さんの査定担当者は、たくさんの被害者ファイルを管理しています。
たとえば、ある被害者から、後遺障害診断書が郵送されてきたとします。後遺障害の事前認定をNliro調査事務所に依頼するには、受傷時と症状固定時の画像、すべての治療先の診断書と診療報酬明細書を揃えなければなりません。被害者が複数の治療先で診察を受けている場合は、アッチコッチと飛び回る必要があります。これが普通にできる優れた査定担当者は、相次ぐリストラで数少なくなりました。
そうです!リストラでは、優れた社員から姿を消していくのです。
優秀な調査員は少なくなっています。
当社社員が、保険調査員時代、被害者から預かった後遺障害診断書を紛失した、あり得ないオバカ査定が2人もいました。
まさか、紛失しましたとは死んでも言えませんから、Nliro調査事務所で認定中と言い訳を繰り返したのです。1年を経過して、誰も信じられなくなった被害者は、Nliro調査事務所に電話を入れました。
電話に出たNliro調査事務所の爺さんは、「申請がなされていないものに、等級の決定をすることはない!」と、ハッキリと回答しました。…そんなやこんなで、事前認定は、大幅に遅れるのです。
関西では、「他人の痛いは、3年我慢できる?」 このように言います。
紳士的な対応でも、腹の中は、「被害者の後遺障害、そんなもん知ったことか!」。これが保険屋さんの実態であり、「お気の毒な被害者のために、手続きを急がなければ?」ということはあり得ないのです。

3.事前認定での自賠責保険金

示談完結まで保険会社が管理します。
保険屋さんに後遺障害診断書を渡して事前認定をお願いすると、認定された時点で、保険屋さんから口頭で等級が通知されます。
その直後から、示談交渉が開始され、合意に達して初めて損害賠償金が振り込まれます。
自賠責の保険金は、示談が完了するまで、保険屋さんに握られたままとなります。

4.被害者請求での自賠責保険金

被害者が加害者の加入する自賠責保険に対して被害者請求を行った場合、自賠責保険は、自賠法16条の4で、請求時の書面の交付、支払時の書面の交付、支払わない場合の書面の交付が義務づけられています。通常は、申請後1週間で審査が行われ、40日後に認定通知と自賠責保険の払込が実行され、その場合、被害者の指定口座に自賠責保険の認定額が振り込まれます。

実例で考える

例えば、7級が認定された被害者の場合、自賠責保険の認定額は1051万円です。
地裁基準、37歳の男性であれば、後遺障害部分で6442万円の損害が認定される可能性があります。
保険屋さんの提示する後遺障害慰謝料は500万円ですが、地裁では、1000万円となります。
後遺障害は、手足の切断だけではありません。
事前認定で、後遺障害が認定されると保険屋さんは積算明細書と示談書を持参し、示談協議に入りますが、多くの被害者は、足や手の切断が後遺障害と考えていますから、後遺障害部分で6442万円も評価されることを知りません。
被害者請求には学習が必要です。
これまでの交渉のすべてを保険屋さん任せにしてきましたから、「自賠がどうで任意がなに」と言った概念が全く理解ができていません。
この状況で、「お気の毒なことで、大きな後遺障害を残しました。この部分の評価として1051万円をお支払いします?」となれば、喜んで捺印する被害者が大多数です。
事前認定で自賠責保険の認定額が握られたままでは、このような『トリック』に簡単に引っかかり、裁判になれば獲得できるであろう水準を大幅に下回る額でまとまってしまうのです。

被害者請求を行うと

後遺障害について、被害者請求を実施していれば、自賠から1051万円が先行入金されます。
協議を財団法人交通事故紛争処理センターもしくは訴訟を提起して行えば、地方裁判所基準で積算がなされます。実際に保険屋さんが負担する金額が丸見えとなるのです。

5.後遺障害等級が認定されなかった、自賠法16条の5を発動

自賠責保険は、自賠法16条の4に基づき、遅滞なく、「支払わない場合の書面の交付」を行わなければなりません。それでも説明が不十分な場合、被害者は自賠法16条の5を発動、「書面による説明」を文書で求めれば、1ヶ月以内に、理由の詳細を文書で通知しなければならないことになっています。
自賠責保険は、2002年4月1日に民営化されたのですが、民営化と同時に保険屋さんにとっては面倒な制度が設けられ、被害者にとっては、透明化されています。 
であれば、被害者はこの制度を有効利用しなければなりません。なお、事前認定では、この縛りは一切ないのです。