このページでは、自賠責法が規定する後遺障害の等級について解説します。

等級の仕組み

後遺障害等級は、介護を要する後遺障害は別表Ⅰ、それ以外は別表Ⅱで規定しています。
別表Ⅰでは、常時介護と随時介護の2つに分類していますが、別表Ⅱでは等級を1級から14級の14段階に区分して、その中に140種の類型的な後遺障害を押し込んでいるのです。

自賠責保険が規定する後遺障害等級表では、この類型化のために下記2点の問題を内在しています。
①労働能力の喪失の程度が異なる後遺障害が同一等級として格付けされている。
②同種の後遺障害では、労働能力喪失の程度が一定の範囲内にあるものをくくって同一の等級に格付けされている。

等級分類の具体例

労働喪失能力56%の後遺障害等級7級では、以下の13に分類されています。
1 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下となったもの、
2 両耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの、
3 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの、
4 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの、
5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの、
6 一手の親指を含み3の手指を失ったものまたは親指以外の4の手指を失ったもの、
7 一手の5の手指または親指を含み4の手指の用を廃したもの、
8 一足をリスフラン関節以上で失ったもの、
9 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの、
10 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの、
11 両足の足指の全部の用を廃したもの、
12 外貌に著しい、醜状を残すもの、
13 両側の睾丸を失ったもの、

①の問題については、1および12と13が同じ評価でいいのか?
②の問題については、4、5の評価に間違いはないか?

このような問題を残していますが、自賠責保険は、別表Ⅰ・Ⅱの分類からくる制約であり、やむを得ないものとしています。

後遺障害の原則

  • 別表Ⅱの後遺障害が2以上あるときは、原則として重い方の後遺障害等級とする。
  • ただし、13級以上の後遺障害が2以上あるときは、重い方の等級を1級繰り上げる。
  • 8級以上の後遺障害が2以上あるときは、重い方の等級を2級繰り上げる。
  • 5級以上の後遺障害が2以上あるときは、重い方の等級を3級繰り上げる。
  • 14級の後遺障害が複数認められたときは、繰り上がりはなく、14級のままとする。
  • 併合の結果、1級を超えるときは、1級を認定する。

「相当級」とは

後遺障害等級表に掲げるもの以外の後遺障害については、介護の必要性と後遺障害の程度に応じ、後遺障害等級表に掲げる後遺障害に準じて、その等級を定めることとされており、これにより決められた等級を相当級といいます。

その他の留意事項

併合により繰り上げを行ったときの保険金額は、各々の等級の保険金額の合算額を超えないことと規定しています。

既に後遺障害のあった者が、同一の部位について後遺障害の程度を加重したときの自賠責保険金額は、現在の等級による保険金額から、既にあった等級の保険金額を差し引いた額となります。

自賠法は、元々問題含みであることを理解しておかなければなりません。